こんにちは、ろくじょうです。
本記事では水草レイアウト水槽を水を張らずに立ち上げる「ミスト式」について解説します。
綺麗な水景を目指して水槽を立ち上げても最初の数週間で水草が抜けまくったり、綺麗に育たなかったり、コケにやられたりと、なかなか思い描いた水景にならないということはありませんか?
そのようなトラブルを回避できる立ち上げ方法がミスト式です。私も複数回この方法で立ち上げに成功しています。初心者の方から中級者の方まで分かりやすく、ポイントやメリットデメリットを押さえて説明するので、ぜひご覧ください。楽して素敵な水景を作りましょう!
ミスト式立ち上げとは
水草水槽を立ち上げる際の手法の一つで、最初の数週間、注水せずに水上葉で水草を育成し、水草がある程度育ってから注水する立ち上げ方です。メリットいっぱいで初心者の方からベテランの方まで強くおすすめしたい立ち上げ方です。
手順
植栽
まずはソイルを敷き、石や流木等でレイアウトを作ります。ここは通常の立ち上げと同じです。
植栽する水草を準備します。種類は水上葉でも育ちやすいものがおすすめです。ミスト式に向かない水草は後述します。
特におすすめは前景草です。また、水上葉で管理するため、購入する際は水中葉より水上葉を選ぶとうまくいきやすいです。
画像はADAの組織培養水草(数年前の画像なので価格が違いますね。。)
軽く全体に霧吹きをして、植栽します。水がないので簡単!抜ける心配もないので植えるというより置いていく感じで大丈夫です。組織培養系の水草を使う場合は寒天等をしっかり取り除いた方がカビ等の発生リスクを減らせます(寒天等のベースは栄養の塊なので、カビの餌になってしまいます)
湿らせてラップ(蓋)をする
湿度100%を保つための水を入れます。コケやカビ対策を考えると、飼育水やカルキを抜いた水より水道水がおすすめです。
霧吹きで頑張るのもありですが、ずぼらな私はソイルがえぐれない程度に直接水を入れています。
下の画像は少し水が少ないです。これだとすぐに水追加しないといけなくなります。低床(ソイル)の一番浅い箇所から水がギリギリ見えないくらいまで入れて大丈夫です。
水草が水に浸るくらい水を入れすぎるとアオミドロやカビの発生確率が上がるのでご注意ください。
ラップをします。蓋等でもいいですが、透明かつ密閉できるものにしましょう。
待つ
ひたすら待ちます。
コケの心配がないので、照明の点灯時間は長くても問題なく、長い方が早く水草が育ちますが、通常の水草水槽と同じくらいでも問題ありません。私は部屋の照明時間に合わせた時間+αで10時間程度点灯させています。
結露で中がよく見えないので、数日に一度、観察兼換気のためにラップをとって中をのぞきます。
カビ等の発生がないか、乾いていたり、溶けていたり、枯れている水草やはないかをチェックします。
カビや枯れた水草等はその部分をソイルごと取り除き、取り除いた箇所にまたソイルと水草をセットします。
乾いた水草やソイルがある場合は、ラップや蓋の穴がないかを確認し、追加で霧吹きをします。
ものすごく盛った高い位置等、もしどうしても乾いてしまうような場所がある場合は毎日霧吹きを頑張るしかありませんが、私としてはその部分だけミスト式をあきらめ、注水後に育てることをお勧めします。高い位置であれば他の箇所よりも光がよくあたり、早く成長してくれる可能性が高いです。
植栽直後の様子(1カップ半くらい使いました)
1週間後
2週間後
4週間後
注水
しっかり根がはっているので抜けることもありませんし、濁ることも少ないです。
通常の立ち上げと異なり水草が水槽内の栄養分を吸ってくれるまでの期間が短いので生体の導入もミスト式の場合短縮できます。感覚的には数日後には導入できることが多いです※
※試薬等でアンモニアや亜硝酸が検出されないことを確認してからにしましょう。
注水後は通常の水草水槽と同じようにフィルターやCO2、ヒーター等を設置し管理しましょう。
水草がある程度育っていて水質浄化機能があるので、生体が少ないのであればフィルターなしでも比較的管理しやすいです。ボトルアクアリウム等でもミスト式はおすすめです。
ミスト式のメリット
少ない水草で始められる
個人的には一番のメリット!
通常、水草水槽の立ち上げでは初期に植える水草の量が多ければ多いほど、水中の栄養分を吸収してくれるため水質が安定しやすく、立ち上げが成功しやすいです。
ただ、水草もなかなか値段がしますし、安定した水槽ではトリミングで毎回かなりの量の水草を捨てることになることを考えると、初期に購入する水草は最小限に抑えたい。という方も多いのではないでしょうか。(貧乏性な筆者はミスト式以外では初期の水草が少ないことが原因でよく失敗しています。。)
ミスト式の場合、注水しない=水中の栄養過多によるコケの心配がないので、最初に植える水草の量が少なくても少しミスト式の期間が延びるだけで、低リスクで水草を増やすことができます。
失敗が少なく、手間もかからない
経験がある方ならお分かりになると思いますが、立ち上げ初期はとにかくトラブルが多いです。コケは増えるが、水質が安定しないのでエビやオトシンを導入できず、水草もコケにやられてしまったりと、希望に満ち溢れ立ち上げた水槽が無残に散っていくのは悲しいですよね。ミスト式だとこの一番難しい時期をショートカットできるというチート技なんです。
注水後もすぐに水草が多く、根も張っているおかげですぐに水質が安定するので本当に手間が少なく済みます。
盛り土
山岳レイアウト等傾斜のきつい迫力のあるレイアウトはミスト式でない場合、ソイルの雪崩対策がかなり大変ですが、ミスト式であればソイル雪崩の原因であるエビの動きや水の流れがないですし、水をいれるころには水草がしっかり根をはってくれているため、雪崩防止になり、傾斜のきついレイアウトも実現できます。
ミスト式のデメリット&注意点
注水まで生体の避難場所が必要
水を入れない期間が数週間必要なので、一つしか水槽がなく、今現在魚やエビを飼育されている方は水槽を追加する等の対応が必要になります。ただ、この点は水槽立ち上げ時水が安定するまで生体は入れないという基本を考えると、通常の立ち上げと共通の問題ですね。
真夏と真冬は温度管理が必要
できないわけではありませんが、真夏と真冬はミスト式の難易度が上がります。真夏ですと暑さで水草が溶けてしまうことがあります。中はハウス状態なので外より更に気温が高くなっているので丈夫な水上葉でもさすがに耐えられないことがあります。
真冬の場合は成長が遅くなるだけではありますが、ミスト式は長くなればなるほど、カビてしまったり上手くいかなくなるリスクが増えるので、できれば避けたいです。冬は本当に成長が止まるので、春を待ってからミスト式を始めても完成時期はそんなに変わらないです。
真夏真冬ともに部屋ごとエアコンで管理する方法が楽ですが、難しい場合はこの季節を避けてミスト式立ち上げを行うのが無難でしょう。真冬はパネルヒーターを使う手もありますが、ミスト式のメリットである手間やコストがかからないという点がなくなってしまいます。
カビ
通常立ち上げの手間と比べれば大したことないですが、カビやアオミドロが発生した場合の対応が必要です。
カビ予防のために小まめに換気をした方がいいという意見もありますが、うまくいっているときはあまり手をかけない方がいい場合もあります。逆にカビが出てしまった後は、除去したうえで、環境改善のために、小まめな換気をした方がいいです。
また、使う素材や環境によって、よくカビが出てしまうという方には、カビ予防スプレー等を利用しましょう。アクアリウム、テラリウム系のメーカーから販売されているものが安心です。お風呂用のカビ対策アイテムを利用するという強者の声も聞いたことがありますが、自己責任でお願いします。汗
水草を選ぶ(ミスト式に向かない水草)
ミスト式は立ち上げ期間を水上葉で維持することになるため、水上葉化しにくい水草はミスト式には向きません。水上葉での販売がない水草は基本的に水上葉での維持管理が難しい種類なので、避けましょう。
またレイアウト素材に流木を用いる場合はカビが発生する確率が上がるので、流木を使う場合は換気やカビ対策をしっかりしましょう。
手間をかけられない
立ち上げ初期のコケとの駆け引きや白濁りへの対応等、大変ではありますが、問題の発生、解決が目に見えるので達成感、やりがいを感じる方もいます。ミスト式の場合この盛り上がりがなく、いきなり水景が完成してしまうので少し物足りなさを感じる方もいるかもしれません。
まとめ
ミスト式立ち上げについて説明させていただきました。
初心者の方にとっては、一番難しい立ち上げ初期を低リスクで乗り越えられ、中上級者の方にとっても盛り土しまくりのかっこいいレイアウトを実現できたりと、ローリスク、ハイリターンなミスト式立ち上げは使わない手はない手法です。
ぜひあなたもミスト式立ち上げを活用して、ワンランク上の水景を作ってみましょう。
それでは、よいアクアリウムライフを!
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